利息(金利)は同じでもトータルで支払う返済総額に大きな差が生じることがあります。それが返済方式です。返済方法ではなく返済方式。方法ではなく方式です。
カードローンの比較は利息より返済方式を優先してチェックせよ。
これが当メディアの結論です。カードローンの返済は残高スライドリボルビング方式や元金均等方式など一度聞いても絶対おぼえられない方式で呼んでおり、その呼び方も金融機関によってマチマチだったりします。統一してほしいところですが、統一したところで金利が下がるわけでもありません。
わたしたちは事業ローンを平成32年まで毎月6万円ずつ絶賛返済中です。この返済方法は元金均等方式といいます。住宅ローンや教育ローンでも一般的な返済方式の一つです。
元金の返済額は一定。残額に利息分が上乗せされるので払い続けていくうちに利息が減っていきます。目を凝らして画像をみると、最初の利息は月6630円。そこから始まって平成32年(2020年)、最後の利息は74円になっているのがわかると思います。長い道のりなので、このまま返済していけるのか不安しかありません。
この元金均等方式と冒頭で紹介した元利均等方式、元金と元利が微妙に違いますね。
カードローン返済方式の種類
ローンの返済方法は大きくリボルビング方式(残高スライドリボルビング方式など)と、それ以外(元金均等方式や分割払いなど)に分けられます。とりあえず、この2つ「リボルビング方式とそれ以外」があることを覚えてください。
リボルビング方式とは、一般的にリボ払いの呼び方で知られていますよね。リボ払いとそれ以外の返済方式との大きな違いは毎月の返済額をどう扱うかになります。
ざっくりというとこんな感じ。
・リボ払い以外〜新たに借入するたびに毎月の返済額が増えていく
さらにざっくり表現するとこうです。新たに借入をした場合の毎月の返済は?
リボ払いは期間が長くなり、それ以外は額が増えていく。
リボ払いはいつまでたっても完済できないリスクがあり、それ以外は毎月の負担が重くのしかかってきます。
▽リボルビング方式
借入の限度額が50万円で毎月2万円のリボルビング払いをしているとすると、5万円でも10万円でも30万円でも毎月の返済額は2万円と変わりません。その代わり、単純計算で6万円なら3ヶ月で完済できるところを、30万円なら15ヶ月払わなければ完済できないことになります。
▽分割払い
一方、リボルビング方式以外の分割払い(一括方式など)は、例えば限度額が50万円だとして10万円を5回払いにすると2万円ずつ払っていきます。その3回めを支払う前に新たに10万円借りてこれも2万円ずつ返済するとします。すると、最初の10万円の3回めから5回めまでの3回分はまだ残っているので、新たに借りた分と合わせて4万円を3回にわたって払い続けることになるわけです。
その代わり、返済期間がのびた分にも当然利息がかかるので、通算の返済額でいうとリボ払い以外よりリボ払いのほうが負担は大きいということになります。もっとコワイのは、リボ払いで毎月の返済額が高値のままになること。お小遣いのほとんどがリボ払いで消えている人を何人か知っています。
カードローンのほとんどは、このリボ払いのジャンルになります。その前に、リボ払い以外を片付けておきましょう。
リボ払い以外の返済方式
リボ払い以外の返済方式は、下記の3つ。
- 元金均等方式
(元金均等返済) - 元利均等方式
(元利均等返済) - 分割払い
その1:元金均等方式(元金均等返済)
元金均等方式は、冒頭で画像とともに紹介した事業ローンの返済方法と同じです。
元金の返済額は一定で利息は毎月の借入残高にかかります。毎月返済していく毎に利息は減っていくことになります。事業ローンの300万円の返済スケジュールを見ると、元金は毎月4万円で一定。利息は6630円から最後の月は74円になりました。296万円、292万円、288万円と減っていく残高に対して利息がかかっているからです。
元金を均等にして毎月の借入残高に利息をかける
これが元金均等方式です。
その2:元利均等方式
「元利」とは「元金」+「利息」のこと。元利均等方式は、元金と利息を合わせた返済額を計算して毎月一定額を払います。
メリット | デメリット | |
元利均等返済 | 返済額(元金+利息)が一定のため、返済計画が立てやすくなります。 元金均等返済に比べて、返済開始当初の返済額を少なくすることができます。 |
同じ返済期間の場合、元金均等返済よりも総返済額が多くなります。 借入金残高の減り方が遅くなります。 |
元金均等返済 | 返済額(元金+利息)は返済が進むにつれ少なくなっていきます。 元利均等返済に比べて、元金の減少が早いため、同じ返済期間の場合、元利均等返済よりも総返済額は少なくなります。 |
返済開始当初の返済額が最も高いため、当初の返済負担が重く、借入時に必要な収入も高くなります。 |
(出典:フラット35「元利均等返済と元金均等返済の特徴」より)
借入 | 金利 | 返済年数 | 初回の 返済額 |
120回目の 返済額 |
240回目の 返済額 |
返済総額 | 利息総額 | |
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元利均等返済 | 20,000,000円 | 年2.5% (固定) |
20年 (240回) |
105,981円 | 25,435,339円 | 5,435,339円 | ||
元金均等返済 | 125,000円 | 104,340円 | 83,507円 | 25,020,833円 | 5,020,833円 |
(出典:wikipedia)
計算式はとても複雑なので割愛します。
借りたお金(元金)と利息を足した総額を返済回数で割る
それが元利均等方式です。住宅ローンや奨学金などで採用されています。
その3:分割払い
分割払いは家電製品を買うときに「何回払いにしますか?」と聞かれますよね。利息が上乗せされて支払うことになります。10万円のテレビを買って3%(年率)の金利で12回払いだとすると、8543円を毎月払うことになります。総支払額は10万3000円。1000万円なら1030万円です。
リボ払いの返済方式
リボ払い以外を片付けたので、次はほとんどのカードローンで採用されているリボ払いについて解説します。これがまた、種類がありすぎていまだに混乱することもしょっちゅう。
リボ払いの種類
まずリボ払い=リボルビング方式のおさらいです。
リボルビング方式とは
借入限度額の範囲内で、毎月決まった額を支払いする仕組みのこと。
借入限度額が50万円として、リボ払いを2万円に設定します。すると、10万円借りてのちに10万円を追加で借りたとしても毎月の返済額は2万円です。
・10万円→2万円×5ヶ月
・10万円+10万円→2万円×10ヶ月
これがシンプルなリボルビング方式の仕組み。追加でお金を借りても毎月の返済額は変わらず、その代わり返済期間が延びていきます。
このリボルビング方式が発展したかたち、それが各カードローンの返済方式です。種類がいろいろあります。目がチカチカするかもしれませんがガマンしてご覧ください。
リボルビング払いの種類一覧
定額or定率
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元利or元金
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残高スライド
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1リボルビング方式
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2定額リボルビング方式
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4元利定額リボルビング方式
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5元金定額リボルビング方式
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8残高スライド定額リボルビング方式
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10残高スライド元利定額リボルビング方式
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11残高スライド元金定額リボルビング方式
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3定率リボルビング方式
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6元利定率リボルビング方式
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7元金定率リボルビング方式
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9残高スライド定率リボルビング方式
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12残高スライド元利定率リボルビング方式
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13残高スライド元金定率リボルビング方式
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という説は認めたくないですがなかなか正しい意見です。ぜんぶで13種類あります(そもそも調べ)。いっぱいある、ということが言いたいです。
じゃあ、いきなりですがクイズ。
問題:リボルビング方式は13あります。番号がふってあります。そのなかでもっともカードローンの返済方式として主流を占めているのは何番?
定額or定率
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元利or元金
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残高スライド
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1リボルビング方式
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2定額リボルビング方式
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4元利定額リボルビング方式
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5元金定額リボルビング方式
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8残高スライド定額リボルビング方式
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10残高スライド元利定額リボルビング方式!
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11残高スライド元金定額リボルビング方式
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3定率リボルビング方式
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6元利定率リボルビング方式
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7元金定率リボルビング方式
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9残高スライド定率リボルビング方式
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12残高スライド元利定率リボルビング方式
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13残高スライド元金定率リボルビング方式
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正解は「!」マークが目印、10の残高スライド元利定額リボルビング方式です。
さらに、返済方式の呼び方が各々の金融機関によって違っている、ということが調べているうちにわかってきました。
定額と定率の違い
カードローンにおける定額と定率の違いは最低返済額を割り出す計算方法です。
「定額」は文字通り、固定の返済額を決めて支払う方式です。リボルビングのジャンルなので「定額リボルビング方式」というと、固定の返済額を決めて毎月決められた額を支払う方式となります。
・定額リボルビング方式〜固定の返済額を決めて毎月決められた額を支払う方式
さらに、「元利定額リボルビング方式」、「元金定額リボルビング方式」と分かれます。
・定額リボルビング方式〜固定の返済額を決めて毎月決められた額を支払う方式
・元利定額リボルビング方式〜固定の返済額を決めて毎月決められた額を支払う方式。毎月の支払額は一定だが中身の元金と利息は変動している。
・元金定額リボルビング方式〜元金の支払い額だけを固定し、前の月の支払い残高に利息をかけて返済する方式。支払額は利息分が徐々に減っていく
一方、定率は借入残高に対して「一定の割合」という謎の割合をかけて計算して返済する方式です。謎というのは金融機関がなぜその割合にしたのか公開していないからです。100万円なら3%、10万円なら5%など金融機関が決めた一定の割合をかけて支払います。
・定率リボルビング方式〜借入残高に一定の割合をかけた額を毎月支払っていく方式
・元利定率リボルビング方式〜元金と利息を計算対象として借入残高に一定の割合をかけた額を毎月支払っていく方式
・元金定率リボルビング方式〜元金を計算対象として借入残高に一定の割合をかけた額を毎月支払っていく方式
この一定の割合による計算方法を採用している金融機関は限られています。その数少ない一つがアコムです。
独自に割り出した一定の割合は3.0%や4.2%など。100円単位の端数は切り上げます。こういうことです。
定率(4.2%)による計算式 | 毎月の返済額 |
5万円×4.2%=2100円 | →3000円 |
10万円×4.2%=4200円 | →5000円 |
20万円×4.2%=8800円 | →9000円 |
20万円で9000円はちょっと高い気がします。計算によって割り出された毎月の最低返済額を「定額」を採用しているレイクやプロミスと比較しました。
レイク | アコム | プロミス | |
〜10万円 | 3000円 | 3000円 | 4000円 |
〜20万円 | 5000円 | 6000円 | 8000円 |
〜30万円 | 7000円 | 8000円 | 11000円 |
〜40万円 | 9000円 | 11000円 | 11000円 |
〜50万円 | 12000円 | 13000円 | 13000円 |
それぞれの計算方法にのっとり最低返済額が微妙に違っています。
これは金利、利息の計算方法、返済期間によっても異なりますので最終的な返済額の確認は各自で行ってください。
残高スライドとは
残高スライドは、定額や定率のうち「定額」を採用しているときに使われるものです。借入残高に応じて段階的に返済金額がスライドしていきます。10万円借りたとして、借りる額が減っていくにつれ階段を下るように減っていきます。
50万円借りていたとして、毎月の最低返済額は1万2000円。これが30万円まで減ると7000円、10万円になると3000円になります。
残高スライドは楽と損が共存している
残高スライドにも前月末日の借入残高か借入時かの種類に分かれます。前日末日の貸越残高ではイオン銀行が有名。借入時はプロミスが代表的な金融機関になります。コレ、けっこう大きな違いがあるんですよ。
先ほどからの説明は前月末日の借入残高の話をしていました。借入時は「直近でお金を借りたとき」の借入残高。
呼び方はこのように分けます。
・前月末日の借入残高→「残高スライド」
・借入時→「借入時残高スライド」
最初に50万借りたとして、毎月の最低返済額は1万3000円だとします。
残高スライドなら前月の末日の残高が30万円になった時点で8000円、20万円で6000円に下がっていきます。
一方、借入時残高スライドは30万円、20万円、10万円と借入残高が減り続けても毎月の返済額は13000円のまま。借入時=「直近でお金を借りたとき」に該当するのが50万円だからです。
借入残高 | 50万円→ | 30万円→ | 20万円→ | 10万円→ |
毎月の最低返済額 | ||||
残高スライド | 1万3000円 | 8000円 | 6000円 | 3000円 |
借入時残高スライド | 1万3000円 | 1万3000円 | 1万3000円 | 1万3000円 |
借入時残高スライドは、新たにお金を借りて借金が増えたのに最低返済額は低くなる逆転現象が起こることがあります。50万円を借りて10万円まで下がったときに新たに20万円を借りると、毎月の最低返済額は1万3000円から8000円になるんです。50万円から30万円に「直近の借入時」が更新されたことにより最低返済額がスライドしたわけです。
言い方!カードローンの返済方式は種類が豊富ということがわかっていただけたと思います。
返済方式まとめ
カードローンは借りたお金に対して、1000円単位で月々一定額を返済するシステム。利息を端数がないのは振り込みが大変で単純に不便だからです。通信費や光熱費を振り込みにしている人は大変さがわかっていると思います。端数は調整されるので損するわけではないので安心を。
カードローンの返済方式をまとめると、次のようになります。
返済方式一覧
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返済方式
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一口解説
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金融業者
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各社の名称
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リボルビング以外
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元金均等返済
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元金を一定にして毎月の借入残高に利息をかける
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元利均等返済
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借りたお金と利息を足した総額を返済回数で割る
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分割払い
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借りたお金と利息を返済回数で割って支払う
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リボルビング払い
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毎月決められた一定額を支払う。返済額は増えないが返済期間は延びるリスク。その分利息負担も増える。
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定額リボルビング方式
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固定の返済額を決めて毎月決められた額を支払う方式
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定率リボルビング方式
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借入残高に一定の割合をかけた額を毎月支払っていく方式
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元利定額リボルビング方式
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固定の返済額を決めて毎月決められた額を支払う方式。毎月の支払額は一定だが中身の元金と利息は変動している。
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セブン銀行
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元加(がんか)方式
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レイク
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元利定額 リボルビング方式※
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元利定率リボルビング方式
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元金と利息を計算対象として借入残高に一定の割合をかけた額を毎月支払っていく方式
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元金定額リボルビング方式
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元金の支払い額だけを固定し、前の月の支払い残高に利息をかけて返済する方式。支払額は利息分が徐々に減っていく
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三井住友銀行 ゴールドローン
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毎月元金定額返済
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元金定率リボルビング方式
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元金を計算対象として借入残高に一定の割合をかけた額を毎月支払っていく方式
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借入時残高スライド元利定額リボルビング方式
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直近の借入残高が最低返済額に反映
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プロミス
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残高スライド元利定額返済方式
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アコム
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定率リボルビング方式
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モビット
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残高スライド元利定額リボルビング方式
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前月末日の借入残高により最低返済額が変動
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オリックス銀行
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残高スライドリボルビング方式
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じぶん銀行
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楽天銀行
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残高スライドリボルビング返済
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イオン銀行
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りそな銀行
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レイク
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残高スライドリボルビング方式※
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※レイクは2種類の返済方式があります。
なるべく早く返済を完了させたい、少しでも返済総額を減らしたい方は借入時残高スライド元利定額リボルビング方式や元利定額リボルビング方式をがおすすめの返済方式となります。